コンサルタントコラム

【人事管理】キャリア開発支援の行方(2)

前回コラムでは、今年4月に発表された第10次職業開発基本計画で示された「生産性向上に受けた人材育成戦略」の一つ目「生産性向上に受けた人材育成の強化」に関する施策の方向性について確認しました。

今回は残りの3戦略について確認しています。

これらを知っておくことで、今後の自社社員のキャリア会春支援をどの様に進めれば良いのか。採用する場合も今後の労働市場経済がどの様に変化していくのかを把握しておくことができます。

 

②全員参加の社会実現に向けた職業能力底上げの推進

○ 育児等と両立しやすい短時間訓練コースの設定、訓練受講の際の託児支援サービスの提供 育児・出産を理由とする離職後の再就職に向けた能力開発の課題に対応する施策として、公共職業訓練所で短時間訓練コースを実施することになりました。また、託児所サービス支援付き訓練コースも設置され育児期間中のママたちが利用しやすい環境を整えています。
育児休業を取得する社員にも事前に情報提供しておくことが、休業中の不安やモチベーション低下の防止に繋がります。
○ 児童・生徒等への職場体験等の支援、就業経験の少ない若者に対する日本版デュアルシステムや雇用型訓練の推進、地域若者サポートステーションにおけるニートや高校中退者等への支援の強化 若者のキャリア形成を支援するため、セルフ・キャリアドック等によるキャリアコンサルティングの機会を確保すると共に、就業経験の少ない若者が、就職するために必要なスキルを得る上で効果的な日本版デュアルシステム、雇用型訓練等による若者向けの訓練の推進を図る取り組みが始まっています。
また、地域若者サポートステーション(愛称:サポステ)では、地方自治体と協働した職業的自立に向けた専門的相談等の支援が行われています。
そのためキャリア教育を行う専門人材の養成が求められていることから、キャリアコンサルタント等のキャリア教育に資する人材を養成するための施策が展開されていきます。
○ 中高年の在職中のキャリアアップや再就職に向けた支援 中高年が多様な経験と熟練した技術・技能等を十分発揮できるよう、中高年のキャリア形成を支援するため、セルフ・キャリアドック等による若年期からの継続的なキャリアコンサルティングの機会を確保する取り組みが行われています。
キャリア形成促進助成金による訓練機会の確保や、雇用型訓練を実施する事業主への支援が厚くなっています。
○ 障害者の特性やニーズに応じた訓練の実施 重度障害者を受け入れる障害者職業能力開発校での職業訓練、障害者の態様に応じた多様な委託訓練、障害者向けのデュアル訓練等について障害者の雇用の促進に向けた在り方の検討が実施されています。
公共職業能力開発施設において施設のバリアフリー化を推進し、障害者の入校を促進するとともに、障害者への支援体制の強化を図る、等の取り組みが行われています。
○ キャリアアップ助成金、雇用型訓練等による非正規雇用労働者の支援等 これまでのキャリアアップ助成金や雇用型訓練等による正規雇用労働者への支援も継続して行われています。

 

③産業界のニーズや地域の創意工夫を活かした人材育成の推進

○ 産学官が連携した地域コンソーシアムの構築、就職可能性を高める職業訓練コースの開発・検証 キャリアアップ助成金の活用等による職業訓練機会の確保への取り組み。雇用型訓練の更なる実施の推進。離職した非正規雇用労働者の就職を促進するため、求職者支援訓の実施。訓練等を活用した職業能力開発を行うとともに非正規雇用労働者に対するキャリアコンサルティングの機会を確保する取り組みが行われています。
○ 企業や地域の多種多様なニーズに対応した新たな人材育成プログラムの開発等の支援 厚生労働省では「地域創生人材育成事業」の採択地域として群馬県、埼玉県、静岡県、岡山県、愛媛県、高知県、福岡県、長崎県、熊本県の9県を採択しました。
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11802500-Shokugyounouryokukaihatsukyoku-Kunrenkikakushitsu/0000119031.pdf
○ 地域訓練協議会における多様な産業のニーズの把握、産業界や地域のニーズを反映した職業訓練の実施分野及び規模の設定 地方自治体毎に産業ニーズや地域のニーズを反映した職業教育訓練の取り組みが開始されています。
○ 教育訓練機関への訓練指導員派遣等による連携の強化等 教育訓練機関と職業訓練期間とが連携し、それぞれの特徴を活かした訓練を実施するため、職業能力開発大学校、短期大学校及び工科系教育機関とが相互に教員訓練指導員を派遣するなどの連携を強化する取り組みが始まっています。

 

 

④人材の最適配置を実現するための労働市場インフラの戦略的展開

○ 我が国の産業・職業構造の中長期的な変化を見据えた人材ニーズの把握

 

目指すべき産業構造を見据え、中長期研究インターンシップへの企業及び大学の更なる参加の促進など、中長期的な視点から産学官による人材育成の方向性を合わせる。

産業界が求める理工系人材のスキルの見える化、採用活動における当該スキルの有無の評価。などの検討・取り組みが行われています。

○ 総合的な訓練計画の策定、職業訓練におけるeラーニングの導入検討や、最先端の技術革新やグローバル化に対応した人材育成

 

公的職業訓練全体で効果的に職業訓練コースを設定するため、公共職業訓練及び求職者支援訓練の実施に関する計画について、両計画を一体化した総合的な計画を策定する。
公共職業訓練のコースの充実やe-ラーニング等による訓練の実施について検討が始まっています。
また、求職者個々人の職業生活設計に沿った職業の選択に資するよう訓練受講前から訓練期間中を通じて的確なキャリアコンサルティングを実施することになりました。職業訓練サービスの質の確保・向上を図るため、ISO29990を踏まえて策定された「民間教育訓練機関における職業訓練サービスガイドライン」について実態に合わせてその内容を見直すとともに更なる普及啓発がなされることになりました。
○ 対人サービス分野を重点とした技能検定の整備、認定社内検定の普及促進等による職業能力評価制度の構築

 

職業能力評価制度は、働き手のキャリア開発の目標設定・動機づけとして機能することにより、労働者の主体的なスキルの向上を通じた生産性の向上が期待されています。
技能検定の活用推進⇒企業内において人員配置・昇給・昇格などの処遇での活用に加えて。外部労働市場での活用が進むことが労働市場インフラと指定求められています。
サービス部門を中心とした成長分野における技能検定を整備するとともに、企業単位での社内検定の拡充・普及促進を図る取り組みが行われます。
○ ジョブ・カードの活用促進

 

平成20年に創設されたジョブ・カードを、労働者個人のキャリアアップや多様な人材の円滑な終了を促進するため、障害を通じたキャリア・プランニングのツールおよび職業能力照明のツールとして活用するものに見直しが行われ、一層の活用を促進するための取り組みが行われます。またジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティング、教育訓練の成果の評価の実施を促進するため、技術的指導・援助が行われます。
○ 企業における人材育成投資の促進

 

企業の人材育成投資が減少しており、企業の積極的な人材育成投資を促進するため、従業員のキャリア形成支援について優れた取り組みを行う企業等を表彰し、積極的な周知・広報により好事例の普及を図る取り組みが行われていきます。
○ 地域の職業能力開発行政の拠点としての都道府県労働局の機能強化等 都道府県労働局が国の職業能力開発行政の拠点として位置付けられ、新たに「地方人材育成対策担当官」が配置されました。

 

 

今後も労働市場を取り巻く環境の変化と、諸施策の展開について注目しながら、企業が取り組むべきキャリア開発支援の行方について考えていきたいと思います。

 

 

 

【コンサルタントプロフィール】

阿部 プロフ用PHOTO2 阿部 素子
(株式会社ブレインパートナー 執行役員 マネジメント・コンサルタント)
大分県由布市出身。中小企業の人事や組織強化に関わるマネジメントコンサルタント歴20年。 日本経済を支えている中堅・中小企業に働く人々がイキイキとした日々を送れる事をサポートしたい。よりフェアーな評価と適切なキャリア開発が組織のパフォーマンス向上を引き出すという信念を抱き、1996年より人事評価制度の構築、目標管理の制度設計、運用支援、営業力強化支援を手掛け多くの実績を重ねる。 中堅・中小企業の組織風土に適した人事評価制度を構築し、スムーズな運用をサポート。

 

DATE : 2016/08/12

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