コンサルタントコラム

【人事管理】通勤にバイク等を使う社員の手続きとは

通勤の手段は、公的交通機関を使うことと就業規則で定めている企業も多いと思います。
しかし、健康志向やライフスタイルの多様化などから、社員がバイクや自転車を使って通勤したいと言ってくることも増えているようです。では、どのように対応するのでしょうか。

筆者は、就業規則等ではバイクや自転車を使った通勤は原則として禁止にすることが妥当だと考えています。そのうえで、社員が自分で一定額以上補償のある保険に加入し、申し出をしたときには個別に許可する制度を運用することを薦めています。また、安全運転の宣言を兼ねる文面とし「バイク・自転車通勤の特例許可申請書 兼 誓約書というような書式を用意することがよいでしょう。

バイク通勤等を個別に許可する運用は、社員が公的交通機関を使って通勤できる所に勤務場所があり、電車等の運行時間中に通勤できる仕事に従事していることを想定していますので、運用にあたっては立地や営業時間にあわせて検討をお願いします。

さて、このように許可制にすることが良いと考えるのはなぜでしょうか。事故が起こった場合の損害賠償などは、個別の判断になりますが、起こりうる影響をできるだけ抑えたいと考えているからです。


1.
   
私有のバイクや自転車を通勤以外の業務でも使用している社員が通勤で事故を起こしたときは、会社に損害賠償責任が及ぶことがあります。よって業務では使用しないことを宣言させる必要があります。

  会社は社員の私有バイク等の使用を通勤のみに許可し、業務での使用を禁止していたならば、通勤時の社員の事故に関しては、原則として会社が損害賠償を負わないと解釈できると思います。
  しかし、会社が社員の私有バイク等を積極的に業務に使用させていた場合は、通勤時の社員の事故であっても会社は損害賠償を負わされる可能性が高くなります。
  ①と②の中間の場合、社員が自分で判断して業務に私有バイク等を使用していたとすると、日ごろから会社が指導していたかなどの状況を考慮して会社の損害賠償が判断されると考えています。


2.
   
社員が通勤途中にバイク等の運転で起こした事故について、社員の賠償能力と会社の賠償責任に備え、社員が保険に加入することを義務付けることが考えられます。

1―①のように通勤にのみ使用する許可制にしていても、万が一事故が発生したとき、社員に賠償能力がないときは、賠償責任が会社に及ぶ恐れがあります。また、社員も大変困った状況に陥ります。

バイクであれば、事故被害が大きくなることを想定し、自賠責だけでなく、任意保険の加入も許可条件のひとつにすることが妥当ではないでしょうか。
また、通勤中の事故については、本人の責任になることを十分説明しておくことが重要です。
なお、自転車についても任意保険に加入することを勧めたほうがよいでしょう。自転車については補償内容にもよりますが、年間5千円程度の保険料負担で加入できます。


3.
   
道路交通法その他関係諸法令違反の問題

ひとたび交通事故になると、大切な社員の生死にかかわる事故になりかねません。法令を順守し、安全運転を書面で誓約させ安全運転を指導することも重要と考えます。

 

 

【コンサルタントプロフィール】

写真_大関ひろ美 大関ひろ美
株式会社ブレインパートナー 顧問
三重県四日市市出身。

ワンズライフコンパス(株)代表取締役、ワンズ・オフィス社労士事務所 代表。1981年~ 三菱油化(現、三菱化学)株式会社の人事部門に約9年間勤務。1992年社会保険労務士資格を取得(その後特定社会保険労務士を付記)。 1996年~ 外資系生命保険会社ほか勤務、北九州市嘱託職員として介護保険導入に携わる。2001年~ 社会保険労務士事務所を開所独立。
現在は、ワンズライフコンパス株式会社と併設するワンズ・オフィス社労士事務所の代表に就任。2006年パートアルバイト派遣の使い方ここが間違いです(かんき出版) 2013年~雇用形態別人事労務の手続と書式・文例、雇用形態別人事管理アドバイス(共著、新日本法規出版)

 

DATE : 2016/10/21

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