コンサルタントコラム

【人事管理】求人票の適正化等2018年1月に職安法改正

今回は、2018年1月に施行される改正職業安定法をとりあげます。
この改正により、ハローワークや求人サイトに掲載する求人票は、これまでより正確に記載することなどが必要になります。


1.労働条件変更等の明示義務

企業等が求人票などであらかじめ示した労働条件と異なる労働条件で採用するときは、その内容を求職者に明示することが義務になります。
厚生労働省のリーフレットでは、次のようなケースが、変更後の労働条件を明示する義務に該当するとしています。

「当初の明示」と異なる内容の労働条件を提示する場合
例)基本給30万円/月を→→基本給28万円/月に変更するとき
「当初の明示」の範囲内で特定された労働条件を提示する場合
例)基本給25万円~30万円/月を→→基本給28万円/月にするとき
「当初の明示」で明示した労働条件を削除する場合
例)基本給25万円/月、営業手当3万円/月の→→営業手当を削除するとき
「当初の明示」で明示しなかったが新たに労働条件を提示する場合
例)基本給25万円/月を→→基本給25万円/月、営業手当3万円/月にするとき

 

そして、変更の明示は、求職者が変更内容を適切に理解できるような方法で行う必要があり、「当初の明示と変更後の内容を対照できる書面を交付する方法」が望ましいのですが、「労働条件通知書で、変更された事項に下線を引いたり着色したりする方法や、脚注をつける方法」などで適切に明示することも可能としています。

 

2.労働条件変更明示を行う場合の注意点
改正後であっても、求人をする企業等が、ハローワークへ提出する求人票を、基本給25万円~30万円/月といったように範囲を示して募集することも可能です。しかし、可能な限り具体的に限定する配慮が必要となります。そして、求職者に対して労働条件を決めたときは変更明示をしなければなりません。
また、変更明示の方法を適切に行った場合であっても、当初の明示を安易に変更することはできません。なお、学校卒業見込者については、特に配慮が必要ですから、変更を行うことは不適切です。また、原則として学校卒業見込者については、内定までに職業安定方に基づく労働条件明示を書面で行わなければなりません。
変更明示が適切に行われていない場合や、当初の明示が不適切であった場合は、行政による指導監督や罰則等の対象になる場合があります。

 

3.罰則の強化について
今回の職業安定法の改正によって、罰則が強化されました。
①虚偽の条件を提示してハローワークや職業紹介事業者に求人の申込みを行った場合は、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金となります。
②求人企業等が労働条件の明示や労働条件変更等の明示義務に違反している場合等の行政による指導監督規定の強化(公表もありえます)がなされます。

 

求人倍率が高止まりしているため、求職者の目に留まるようなPR方法を工夫されていると思います。しかしながら、あいまいな表現はトラブルの元です。もし、その労働条件に偽りがあっては、採用後の良好な関係が築ける見込みはないことは言うまでもありません。実際の労働条件を適正に記載することが肝要です。
2017年4月から2018年1月1日まで段階的に施行される改正法を記載した厚労省のページはこちらです。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000172497.html

 

 

【コンサルタントプロフィール】

写真_大関ひろ美 大関ひろ美
株式会社ブレインパートナー 顧問
三重県四日市市出身。

ワンズライフコンパス(株)代表取締役、ワンズ・オフィス社労士事務所 代表。1981年~ 三菱油化(現、三菱ケミカル)株式会社の人事部門に約9年間勤務。1992年社会保険労務士資格を取得(その後特定社会保険労務士を付記)。 1996年~ 外資系生命保険会社ほか勤務、北九州市嘱託職員として介護保険導入に携わる。2001年~ 社会保険労務士事務所を開所独立。
現在は、ワンズライフコンパス株式会社と併設するワンズ・オフィス社労士事務所の代表に就任。2006年パートアルバイト派遣の使い方ここが間違いです(かんき出版) 2013年~雇用形態別人事労務の手続と書式・文例、雇用形態別人事管理アドバイス(共著、新日本法規出版)

 

DATE : 2017/12/27

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