【助成金】パート等のキャリアアップ助成金が拡充
平成28年10月からキャリアアップ助成金が拡充されます。これは10月から健康保険と厚生年金(以下、社会保険といいます)の被保険者が501人以上の会社で、パート等の短時間労働者の社会保険加入対象基準が拡がることに伴い、厚生労働省が助成金でパートの社会保険加入を促進しようとするものです。
健康保険等については、社会保障制度の持続可能性を高めて、将来の世代の給付水準の確保等を図るため、10月からは週20時間以上働く従業員(*注)が、被保険者の対象になります。ただし、被保険者が500人以下の会社は現行の基準のままで週30時間以上働く従業員が被保険者です。
さて、キャリアアップ助成金は、複数のコースがありますが、処遇改善コースの「短時間労働者の労働時間延長」に対する助成金が新たに追加および拡充され、1人当たり3万円から20万円までの助成金が支給されます。
新しく被保険者になるパート等は、社会保険料の負担が始まり、企業も会社負担分が増えますが、パート等の社会保険加入を進めて、この機会に積極的に人材活用をしようとする企業は、助成金の申請を考えてみてはどうでしょうか。
1)所定労働時間を5時間以上延長したとき
被保険者になる基準が拡大されても、現状のままでは労働時間が短いために被保険者にならない人を、企業が労働時間を長く契約変更して被保険者にすることを後押しするものです。
パートの所定労働時間を5時間以上延長し社会保険に加入したときに、1人当たり20万円(大企業は15万円)支給されます。
具体的には、被保険者501人以上の企業では週の所定労働時間を30時間以上に延長して、社会保険に加入させた場合です。
また500人以下の企業であれば週の所定労働時間を20時間以上に延長して、社会保険に加入させた場合が対象になります。
2)賃金引き上げと所定労働時間を延長したとき
新たに社会保険に加入し被保険者になったパートは、保険料の被保険者分を負担しますから賃金の手取り額が減ります。また、企業も保険料の会社負担分があり人件費が増えます。そして、パートの所定労働時間を延長したり、手取り減少をカバーするために時間給を昇給したりすることも想定されます。
これらに対応して、企業がパート等の手取り収入が減少しないように配慮をして、昇給と所定労働時間の延長をした場合に助成をするものです。
具体的には、賃金規定等を改定して2%以上賃金を増額し、新たに社会保険に加入させ、所定労働時間を延長したとき、所定労働時間を延長した時間に応じて助成金が支給されます。
1時間以上:1人あたり4万円(3万円) 2時間以上:1人あたり8万円(6万円)
3時間以上:1人あたり12万円(9万円) 4時間以上:1人あたり16万円(12万円)
( )は中小企業以外の額
詳しくは、厚生労働省キャリアアップ助成金の拡充リーフレットで確認できます。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000132714.pdf
(*注) パート等の社会保険加入の詳しくは、こちらの年金機構のページで確認できます。
http://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2016/0516.html
【コンサルタントプロフィール】
大関ひろ美 (株式会社ブレインパートナー 顧問) 三重県四日市市出身。 |
ワンズライフコンパス(株)代表取締役、ワンズ・オフィス社労士事務所 代表。1981年~ 三菱油化(現、三菱化学)株式会社の人事部門に約9年間勤務。1992年社会保険労務士資格を取得(その後特定社会保険労務士を付記)。 1996年~ 外資系生命保険会社ほか勤務、北九州市嘱託職員として介護保険導入に携わる。2001年~ 社会保険労務士事務所を開所独立。
現在は、ワンズライフコンパス株式会社と併設するワンズ・オフィス社労士事務所の代表に就任。2006年パートアルバイト派遣の使い方ここが間違いです(かんき出版) 2013年~雇用形態別人事労務の手続と書式・文例、雇用形態別人事管理アドバイス(共著、新日本法規出版)
DATE : 2016/09/14