コンサルタントコラム

【人事管理】入社前の研修に賃金を支払うか

新卒採用を予定している企業では、これから4月までの間に、入社前研修を予定しているところも多いと思います。たとえば、社会人として働くうえでのマナー教育や一般常識を1日から2日程度の集合研修で実施するようなケースがあります。1日の研修時間はおおむね6時間ほどが多いでしょう。
もし、入社予定者が、新しい環境に不安を抱いているとすれば、研修内容に共感をするでしょうし、充実した研修になることと思います。


1.入社前研修に参加を義務付けていれば賃金を支払う

社前研修は、内容がうまくマッチすれば入社予定者にとっても、受け入れる企業にとっても有益であると考えていますが、研修に参加している時間に賃金を支払うかどうかが問題になります。

労働基準法を見ると、労働時間とは労働基準法第32条以下の各条文に書かれていることを総合的に解釈すると、使用者が労働者を「労働させる時間」であることがわかります。
裁判例の中には、労働基準法上の労働時間とは「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に決まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約の定めのいかんにより決定されるべきものではない。」(三菱重工業長崎造船所事件 最判H12.3.9)としたものがあります。

このことから、労働時間か否かについては、「使用者の指揮命令下に置かれている時間」かどうかを判断することになりますので、入社前研修に参加することが義務付けられており、参加をしなければ人事評価に影響があるとすれば労働時間になると判断するべきだと考えています。

一方で、事業主からは、「新入社員のためを思って費用をかけて用意した研修に参加してほしいと働きかけただけなので、参加を義務付けていたわけではないのだが。」という反論が聞こえてきそうですが、状況を考えてみると、入社予定者が自由な判断で「参加しない。」とはなかなか言い出せない場合が多いでしょうから、実質的には参加を義付けていると判断するケースが多く、そうであれば賃金の支払が必要だと考えます。

 

2.どのように支払うか

入社後の労働条件が、入社日以降に適用される契約になっていれば、入社前研修の労働については、新たに使用者と労働者で契約することになります。その多くは、時間給で決めると思われます。
実務上は、どこで、いつ、何時間のどのような研修を受講してもらうかと、時間給の支払について、事前に労働契約の書面を交わしておくか、明示しておくことが必要です。
労働時間については、休憩時間を除いた受講時間に支払うことが妥当です。

事業主の細やかな配慮は、必ず入社予定者に伝わります。入社前研修を行う目的を明確にし、新卒社員のスタートダッシュをスムーズにきってもらえるように準備を進めていただきたいと思っています。

 

 

【コンサルタントプロフィール】

写真_大関ひろ美 大関ひろ美
株式会社ブレインパートナー 顧問
三重県四日市市出身。

ワンズライフコンパス(株)代表取締役、ワンズ・オフィス社労士事務所 代表。1981年~ 三菱油化(現、三菱化学)株式会社の人事部門に約9年間勤務。1992年社会保険労務士資格を取得(その後特定社会保険労務士を付記)。 1996年~ 外資系生命保険会社ほか勤務、北九州市嘱託職員として介護保険導入に携わる。2001年~ 社会保険労務士事務所を開所独立。
現在は、ワンズライフコンパス株式会社と併設するワンズ・オフィス社労士事務所の代表に就任。2006年パートアルバイト派遣の使い方ここが間違いです(かんき出版) 2013年~雇用形態別人事労務の手続と書式・文例、雇用形態別人事管理アドバイス(共著、新日本法規出版)

 

DATE : 2018/01/31

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