コンサルタントコラム

【人事管理】ジョブ型社員の労働条件確認に意見

政府の規制改革推進会議は、2019年5月20日に「勤務地限定社員」及び「職務限定社員」等について、労働契約締結時に書面で明示する項目に勤務地限定や職務限定の内容を追加することや、就業規則に限定社員制度を記載すること等を法改正として取り組むように提言をしました。これを受けて、労働契約時の書面で明示する項目が追加されるなどの法律改正への取り組みが始まるのではないかと思われます。

この規制改革推進会議は、平成25年に「多様な働き方を実現するため、正社員と非正規社員といった両極端な働き方のモデルを見直し、職種や労働時間を限定した「多様な正社員」のモデルを確立する施策検討を具体化する」という総理の指示以後、継続した議論がおこなわれてきたもので、今回、一定の意見を公表したようです。それでは、提言の概要を紹介します。

 

1. 現状と問題点
現状では次のような問題点が起きているとしています。

(1) 就社型雇用モデルが高度成長をもたらしたという成功体験から、正社員であれば企業の命令で、職務、勤務地、労働時間等の労働条件の変更が許容されるのが当然という意識がいまだに強い。

(2) 職務や勤務地が無限度な働き方は雇用慣行に過ぎず、当事者は労働契約の明確な締結意識が低く、また労働条件が明確でないことによって労働条件の見直し時にも弊害がある。

(3) 多様な価値観や背景を持った国内外の優秀な人材の獲得や、早期抜擢を妨げている。

(4) 共稼ぎ世帯にとって配偶者の希望しない転勤は、夫婦どちらかのキャリア中断や、夫婦そろっての育児の維持を困難にする。

(5) 勤務地限定社員、職務限定社員等は企業で導入が進んでいるが、現状の法律の側面からみると、労働契約の内容はできる限り書面で確認する(労働契約法4条2項)としているにすぎない。また転勤や職務変更の有無は、労働契約時に明示が義務付けられている事項(労働基準法15条、施行規則5条1項)にも含まれていない。

(6) 有期労働契約の通算5年を超えた労働者の無期転換ルールの周知が不十分である。

 

2. 改正の方向性
(1) 国は、「勤務地限定社員」及び「職務限定社員」等を導入する企業に対し、勤務地、職務、勤務時間等の変更予測の可能性を高められるよう、個々の労働者と書面(電子書面を含む)による確認を義務付け、法令の見直しを行うべきとし、具体的には労働契約法と労働基準法の改正を提案しました。

(2) 無期転換ルールが周知されるように、有期労働契約が更新されて5年を超える労働者を雇用する企業には、無期転換ルールを通知することの義務化するべきであるとしました。(現在は、労働者から自発的な申し出があれば無期転換することが企業に義務付けられているのみ)

規制改革推進会議の意見はこちらでご覧いただけます。
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/committee/20190520/190520honkaigi02.pdf

 

 

【コンサルタントプロフィール】

写真_大関ひろ美 大関ひろ美
株式会社ブレインパートナー 顧問
三重県四日市市出身。

ワンズライフコンパス(株)代表取締役、ワンズ・オフィス社労士事務所 代表。1981年~ 三菱油化(現、三菱ケミカル)株式会社の人事部門に約9年間勤務。1992年社会保険労務士資格を取得(その後特定社会保険労務士を付記)。 1996年~ 外資系生命保険会社ほか勤務、北九州市嘱託職員として介護保険導入に携わる。2001年~ 社会保険労務士事務所を開所独立。
現在は、ワンズライフコンパス株式会社と併設するワンズ・オフィス社労士事務所の代表に就任。2006年パートアルバイト派遣の使い方ここが間違いです(かんき出版) 2013年~雇用形態別人事労務の手続と書式・文例、雇用形態別人事管理アドバイス(共著、新日本法規出版)

 

DATE : 2019/05/21

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