コンサルタントコラム

【人事管理】新型コロナとテレワークその後

現在、新型コロナウイルスに関連して、大変ご苦労をされている皆様にお見舞いを申し上げます。

日本経団連は、緊急事態宣言の発令に伴う新型コロナウイルス感染症拡大防止策として、テレワークを導入している企業の割合を調査し、会員企業の97.8%がテレワークや在宅勤務を実施していると発表しました。

調査によると、テレワーク等を導入している企業の中で、実際に実施している従業員の割合は、推計で約66%になるようです。比較的規模が大きい企業においては、テレワーク等が行われていることがわかります。

また、緊急事態発令後にテレワーク等を導入・拡充するにあたって最も障害となっていることとして、回答が多い事項は次の通りです。
・従業員の業務の性質
・ITなどの設備の不足
・対応への時間不足
(調査期間2020/4/14~4/17経団連発表https://www.keidanren.or.jp/policy/2020/036.pdf)

 

1. テレワークの問題点

日本経団連の会員以外の企業でも、現時の緊急事態宣言の発令に伴う感染予防に協力する形で、テレワーク等を行っていますが、実際にやってみると、いろいろな問題点が見えてきていると思います。

筆者のところには、「在宅で仕事をしているのか疑わしい気がする」、「部下に指示したことが伝わっているか不安」、「社員が電話代や水道光熱費を負担してほしいと言っている」、「月額支給の通勤費を全部払うべきか」、「日報が上がってくるが成果がはかりづらい」、「出社しないとできない仕事があるので出社を要請できるだろか」、「やってもらう仕事がない」等の相談が寄せられています。

今回のように導入までの準備時間を取れなかった企業では、運用方法の修正をしながら進めておられます。
なお、時期は難しいのですが、新型コロナウイルス収束後には、現在見えてきた問題点を乗り越えながら、テレワーク等を本格導入するかどうかを検討されることになると思います。

さて、そこで参考資料の一つになるのは、厚生労働省が用意している「テレワーク導入のための労務管理Q&A集」です。それでは、その中から、いくつか取り上げて紹介します。

 

2. テレワーク導入のプロセスについて

①テレワーク導入のステップを把握する ➡ ②テレワークの目的を明確化する ➡ ③全体方針を決定する ➡ ④詳細設計(ルール作成・ICT環境整備・セキュリティ対策) ➡ ⑤テレワーク実施 ➡ ⑥テレワークを評価・改善する ➡ ②へ戻って繰り返し

以上のステップですが、緊急事態宣言で初めてテレワーク運用を始めているとすれば、次のステップとしては、「⑥テレワークを評価・改善する」ところから始めて、改めて②「目的を明確化する」に戻り、目的の見直しを行い、その後のステップを繰り返すサイクルを回していくことになると思います。

 

3. テレワークと就業規則の変更

テレワークに関する項目のうち、労働基準法等に照らすと、次のような項目を就業規則や労働条件通知書に記載することが必要です。
(1) テレワーク等を命じることができることの定め(労働条件の明示事項)
(2)テレワーク等は出社のときと労働時間を別にする場合は、その労働時間(就業規則絶対的必要記載事項)
(3)通信費などの負担に関する事項(就業規則相対的必要事項)
(4)労働時間の把握の方法
(5)業務評価・人事評価の取り扱い 等

 

4. テレワークと事業場外みなし労働時間制の注意点、

労働者が通常勤務する事業場外で勤務をし、事業主が労働時間を計算困難なときは、みなし時間によって労働時間を計算できます。
「みなし時間」とは、所定労働時間を労働したとみなすか、所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合には、労使協定で定めたその労働時間を労働したとみなす扱いです。

そこで、テレワークの日は、事業場外で勤務していると取らえて、一律に事業場外みなし労働時間制を適用できるかというとそうではありません。

例えば次のようなケースでは、事業場外みなし労働時間制とできないとされています。
① テレワークで使うパソコンを労働者の意思で通信遮断することを認めていない
② 使用者が応答を求めれば、労働者が即応しなければならない
これらであれば、使っているパソコンやアプリの機能で、労働時間の計算が可能であって、事業場外みなし労働時間制を当てはめることはできません。その場合は、事業主が把握した時間が労働時間となりますので、注意が必要です。

厚生労働省「テレワーク導入のための労務管理Q&A集」の詳細は、以下のページでご確認ください
https://work-holiday.mhlw.go.jp/material/pdf/category7/02.pdf

 

 

【コンサルタントプロフィール】

写真_大関ひろ美


大関ひろ美
株式会社ブレインパートナー 顧問
三重県四日市市出身。

ワンズライフコンパス(株)代表取締役、ワンズ・オフィス社労士事務所 代表。1981年~ 三菱油化(現、三菱ケミカル)株式会社の人事部門に約9年間勤務。1992年社会保険労務士資格を取得(その後特定社会保険労務士を付記)。 1996年~ 外資系生命保険会社ほか勤務、北九州市嘱託職員として介護保険導入に携わる。2001年~ 社会保険労務士事務所を開所独立。
現在は、ワンズライフコンパス株式会社と併設するワンズ・オフィス社労士事務所の代表に就任。2006年パートアルバイト派遣の使い方ここが間違いです(かんき出版) 2013年~雇用形態別人事労務の手続と書式・文例、雇用形態別人事管理アドバイス(共著、新日本法規出版)

 

DATE : 2020/04/23

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