【人事管理】精神障害の労災補償、医療福祉分野が最多
厚生労働省は、令和7年6月25日に令和年6年度の「過労死等の労災補償状況」を公表しました。
精神障害の労災認定は、単なる労働時間の長さだけでなく、ハラスメントやトラブル、極度の責任負担など、労働者に心理的負荷を与える出来事の有無も含めて、総合的に判断されます。精神障害とはうつ病などの精神疾患です。
1. 精神障害の労災請求・支給の動向
• 請求件数は 3,780件(前年度比 +205件)
• 自殺(未遂を含む)は 202件(前年度比 -10件)
• 労災支給が決定された件数は 1,055件(前年度比 +172件)
• 支給決定のうち自殺に対する支給決定は 88件(前年度比 +9件)
資料出所:厚生労働省令和6年度「過労死等の労災補償状況」図2-1より
請求件数を業種別(大分類)で見ると、以下の業種で多くなっています。
業種 | 請求件数 | 支給決定件数 |
医療・福祉 | 983件 | 270件 |
製造業 | 583件 | 161件 |
卸売業・小売業 | 545件 | 120件 |
特に「医療・福祉」分野では、「社会保険・社会福祉・介護事業」が中分類として多く、ケア労働に携わる現場のストレスの深刻さが浮き彫りになっています。
2. メンタルヘルス対策には「こころの耳」を活用
厚労省が運営する働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」では、事業者や上司、支援者向けに役立つ情報が提供されています。労務管理やメンタルヘルス対策に取り組む際のリソースとして、ぜひご活用ください。なお、働く人が読むことも想定しているサイトです。
こころの耳
https://kokoro.mhlw.go.jp/beginner/
【コンサルタントプロフィール】
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大関ひろ美 (株式会社ブレインパートナー 顧問) 三重県四日市市出身。 ワンズライフコンパス(株)代表取締役、ワンズ・オフィス社労士事務所 代表。1981年~ 三菱油化(現、三菱ケミカル)株式会社の人事部門に約9年間勤務。1992年社会保険労務士資格を取得(その後特定社会保険労務士を付記)。 1996年~ 外資系生命保険会社ほか勤務、北九州市嘱託職員として介護保険導入に携わる。2001年~ 社会保険労務士事務所を開所独立。 |
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DATE : 2025/06/30