【人事管理】新卒採用の環境と初任給(調査統計から)
今回は、新卒者の採用環境と初任給の現状について、各種調査統計をもとに紹介します。
1. 東京商工会議所調査
東京商工会議所は、2025年新卒者の採用について、会員270社から回答を得て、調査結果を発表しました。(調査時期は2025年1月24日~1月31日)
(1) 採用計画人数に対する充足率
計画以上の内定者を確保している企業は13.4%にとどまり、充足率が50%未満の企業は40.3%を占めました。このことから、企業が新卒採用に苦戦していた様子がうかがえます。
(2) 採用・選考活動の終了予定時期
終了予定月を2025年1月から3月までと回答した合計は60.5%に達しており、この結果からも、企業が新卒採用に苦戦していた様子がうかがえます。
(3) 選考応募者の募集において力を入れていきたい手段
募集において、今後力を入れていきたい手段については、
「学校への求人票提出・学校からの紹介(63.2%)」、「学校が主催する合同会社説明会(59.7%)」が上位となったことから、企業が新卒採用に苦戦している中で、学校との接点を強化しようとしていることがうかがえます。
(4) 内定辞退者の有無
「内定・内々定の辞退者がいる」と回答した企業の割合は73.1%に達し、約3割の企業が「内定者・内々定者の親族等」に対して何らかの取り組みを行っていると回答しています。
(5) 初任給引き上げの実施状況
2025年新卒者の初任給引き上げの実施状況について、「初任給を引き上げた(または引き上げる予定)」と回答した企業の割合は55.6%と半数を超えました。
調査結果は以下のURLでご覧いただけます。
https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1205606
2. 初任給:賃金構造基本統計調査等
上記の調査で初任給の引き上げに取り組んでいる企業が多いことがわかりますが、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」による初任給の水準は以下のとおりです。また、民間給与水準を参考とする人事院勧告に基づく初任給も併せて紹介します。
【コンサルタントプロフィール】
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大関ひろ美 (株式会社ブレインパートナー 顧問) 三重県四日市市出身。 ワンズライフコンパス(株)代表取締役、ワンズ・オフィス社労士事務所 代表。1981年~ 三菱油化(現、三菱ケミカル)株式会社の人事部門に約9年間勤務。1992年社会保険労務士資格を取得(その後特定社会保険労務士を付記)。 1996年~ 外資系生命保険会社ほか勤務、北九州市嘱託職員として介護保険導入に携わる。2001年~ 社会保険労務士事務所を開所独立。 |
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DATE : 2025/05/26