コンサルタントコラム

【人事管理】労災認定で精神障害のトップにパワハラ

1. パワーハラスメントと労災認定

業務上による過重負荷が原因で労働者が病気になり、労働基準監督署長の認定を受けたときには、労災から労働者へ給付が行われます。
うつ病などの「精神障害」については、発病前の労働時間や労働環境、及び労働者に心理的負荷を伴う出来事が起こっていたか等を総合的に評価して認定が行われます。

前回のコラムでは、その認定の過程で「こんな出来事を体験した労働者は心理的な負荷が高まって、精神障害がおこるリスクが高い」と考えられる具体的な出来事を列挙した「心理的な負荷が高まる出来事の一覧」の項目のひとつに、「パワーハラスメント」が加わったことをお伝えしました。

 

2. 精神障害に関する労災支給決定のトップに

厚労省は、過労死等の労災の支給状況を毎年発表しています。精神障害に該当すると決定をした件数(以下、支給決定件数と言います。)の出来事別の件数の2020年の支給決定件数を見てみると、初めて加わった項目であるパワーハラスメントが1位(99件)となっています。

なお、精神障害の年間支給決定数は、2019年は509件でしたが、2020年が608件で約100件増加しており、出来事別にみて件数に増減があるものの、パワーハラスメントを理由とする支給決定が増えたことによって、総支給決定数も増加した結果となっています。

また、2019年以前から項目にある「上司とのトラブルがあった」、「同僚とのトラブルがあった」、「部下とのトラブルがあった」等の対人関係による認定は、2020年においても大きな変動がなく認定されています。

パワーハラスメントと対人関係のトラブルは、労災認定の過程で2020年から区別して認定をされるようになりましたが、総じて職場内の人と人との間で起こった出来事であるため、企業等においては、優越的な関係間で起こったことに変わらず、人との接し方を良好に保てるように適切な予防対策が必要だと考えています。

過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスが起因で発症した精神障害の状況について、労災の請求件数や支給決定数をまとめた資料が下記の厚生労働省ホームページに掲載されています。
報道発表資料:令和2年度「過労死等の労災補償状況」を公表します
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19299.html

 

 

 

【コンサルタントプロフィール】

写真_大関ひろ美


大関ひろ美
株式会社ブレインパートナー 顧問
三重県四日市市出身。

ワンズライフコンパス(株)代表取締役、ワンズ・オフィス社労士事務所 代表。1981年~ 三菱油化(現、三菱ケミカル)株式会社の人事部門に約9年間勤務。1992年社会保険労務士資格を取得(その後特定社会保険労務士を付記)。 1996年~ 外資系生命保険会社ほか勤務、北九州市嘱託職員として介護保険導入に携わる。2001年~ 社会保険労務士事務所を開所独立。
現在は、ワンズライフコンパス株式会社と併設するワンズ・オフィス社労士事務所の代表に就任。2006年パートアルバイト派遣の使い方ここが間違いです(かんき出版) 2013年~雇用形態別人事労務の手続と書式・文例、雇用形態別人事管理アドバイス(共著、新日本法規出版)

 

DATE : 2021/10/28

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