コンサルタントコラム

【法改正】2021年3月~4月の法改正情報

4月は行政の年度変わりの月ですから、法改正等が多い時期です。概要をまとめましたので、各項目について再度確認をして対応に漏れがないか整備を進めていただきたいと思います

 

① 障害者の法定雇用率が引き上げになります(3月1日から)

民間企業は現行2.2%から2.3%に法定雇用率が引き上げになっています。
これにより、障害者を1人以上雇用しなければならない民間企業は、従業員43.5人以上の企業になり、これらの企業は毎年6月1日の障害者雇用状況をハローワークに報告することになります。そして、障害者雇用の推進と継続を図るために「障害者雇用推進者」を選任するように努めなければなりません。

 

② マイナンバーカードの健康保険証利用が可能になりました(3月1日から)

マイナ受付のシールが貼ってある医療機関や薬局でマイナンバーカードが健康保険証のかわりに使えます。設置された顔認証カードリーダーで認証します。子供の場合は親が暗証番号を入力して受付が可能になります。
利用を始めるには、マイナンバーカードを取得し、マイナポータルやセブン銀行の端末等から事前の申し込みが必要です。

なお、利用可能機関に登録している数はまだ限られており、例えば東京都内は3月現在で10か所です。令和5年3月末には概ねすべての医療機関等で導入していることを目指すとしています。
こちらのページに広報資料があります。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08277.html

 

③ 時間外・休日労働に関する協定届(36協定)の書式変更と押印署名廃止(以下③~⑧は4月から)

36協定届において押印署名が不要になります。ただし、押印署名した36協定書を作らずに、36協定届と36協定書を兼ねたものとして締結する場合は36協定届に記名押印または署名等が引き続き必要ですのでご注意下さい。
また、36協定届の協定当事者に関するチェックボックスが新たに加わりました。これは、過半数代表者の選任が適正に行われたことを確認する項目です。
こちらのページにリーフレットがあります。
https://www.mhlw.go.jp/content/000708408.pdf

 

④ パートタイム・有期雇用労働法が中小企業にも適用になる

パートタイム・有期雇用労働法の中小企業への猶予があった期間が終わり、企業の規模に関係なくすべての企業に適用されるようになります。
短時間のパートタイムに限らず、雇用期間を区切って雇用契約する労働者も対象になりますので、有期雇用契約にしている定年後の継続雇用者も対象になります。

パートタイム・有期雇用労働法が適用されると、いわゆる同一労働同一賃金への対応が必要です。パートタイムや有期雇用労働者と、同じ事業所の正社員との間で、基本給や賞与などで不合理な待遇差を設けることが禁止になります。不合理な処遇格差が問題になります。
また、待遇の差について説明を求められたときは、説明をしなければなりません。
こちらのページに解説があります。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061842.html

 

⑤ 70歳までの就業機会確保が努力義務になる

今回の高年齢者雇用安定法の改正は、努力義務ではありますが、中小企業も含めたすべての企業が対象で努力義務がはじまります。
定年の引上げ、定年の廃止、継続雇用制度の70歳までの実施、労使で合意した雇用以外の措置(業務委託や社会貢献制度に従事できる制度)のいずれかを講じて70歳までの就業確保措置を用意することが努力義務になります。
こちらのページに解説があります。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koureisha/topics/tp120903-1_00001.html

 

⑥ 中途採用の比率公表が義務になる(301人以上の企業)
大企業を対象として、労働者の主体的なキャリア形成による職業生活のさらなる充実やチャレンジが可能となるように中途採用に関する環境整備を目的にして、正規雇用労働者の採用者数に占める中途採用者の割合の定期的な公表が義務付けられます。

年度を追ってわかるように3年間の推移を公表することや、ホームページ等へ記載して求職者が容易に閲覧できるようにすることなどQ&Aが公表されています。
こちらのページに解説があります。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/tp120903-1_00001.html

 

⑦ 外国人の年金脱退一時金支給上限が滞在5年に拡大される
厚生年金に加入する要件には、国籍要件がありませんので、企業で働く外国人は日本国籍者と同じ要件で被保険者になります。そして、短期滞在の外国人が出国したときは、年金の脱退一時金を請求できます。これまで3年以上加入した人は、一時金の額が増えず一定でしたが、4月からは、その支給上限年数が5年へ引き上げられます。

 

⑧ テレワークガイドラインが新しくなります

一層良質なテレワークを推進するガイドラインとなるように平成30年2月に策定されたガイドラインを変更したものが、間もなく出る予定です。
今後のコラムで取り上げたいと思います。

 

 

【コンサルタントプロフィール】

写真_大関ひろ美


大関ひろ美
株式会社ブレインパートナー 顧問
三重県四日市市出身。

ワンズライフコンパス(株)代表取締役、ワンズ・オフィス社労士事務所 代表。1981年~ 三菱油化(現、三菱ケミカル)株式会社の人事部門に約9年間勤務。1992年社会保険労務士資格を取得(その後特定社会保険労務士を付記)。 1996年~ 外資系生命保険会社ほか勤務、北九州市嘱託職員として介護保険導入に携わる。2001年~ 社会保険労務士事務所を開所独立。
現在は、ワンズライフコンパス株式会社と併設するワンズ・オフィス社労士事務所の代表に就任。2006年パートアルバイト派遣の使い方ここが間違いです(かんき出版) 2013年~雇用形態別人事労務の手続と書式・文例、雇用形態別人事管理アドバイス(共著、新日本法規出版)

 

DATE : 2021/03/24

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