【人事管理】同一労働同一賃金ガイドライン改正案が検討される
短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との賃金の公正化について公表しているガイドラインが5年を経て、労働政策審議会(職業安定分科会・雇用環境・均等分科会同一労働同一賃金部会)で見直しが検討されています。
ガイドライン改正案では、最高裁や高裁での判断を踏まえて、これまでに記載がなかった「家族手当、住宅手当、退職手当、夏季冬期休暇、無事故手当、褒賞」の合計6つの原則的な考え方が追記されています。
「家族手当、住宅手当、夏季冬期休暇」については、待遇差の原則的な考え方に加えて、問題となる例や問題とならない例も記載されています。
労働契約の更新を繰り返している場合や、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情について正社員との差が少ない短時間・有期雇用社員については、各手当等の性質を考慮しつつ見直しを検討する場合が出てきます。
【1】家族手当については、次のように記載されています。
① 基本的な考え方
労働契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれる短時間・有期雇用労働者には、通常の労働者と同一の家族手当を支給しなければならない。
② 問題となる例
A社においては、通常の労働者であるXに対しては家族手当を支給しているが、労働契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれる有期雇用労働者であるYに対しては、家族手当を支給していない。
③ 問題とならない例
A社においては、通常の労働者であるXに対しては家族手当を支給しているが、労働契約の更新を繰り返していない等、相応に継続的な勤務が見込まれない有期雇用労働者であるYに対しては、家族手当を支給していない。
【2】住宅手当については次のように記載されています。
① 基本的な考え方
転居を伴う配置の変更の有無に応じて支給される住宅手当であって、転居を伴う配置の変更の有無に応じて支給されるものについて、通常の労働者と同一の転居を伴う配置の変更がある短時間・有期雇用労働者には、通常の労働者と同一の住宅手当を支給しなければならない。
② 問題となる例
A社においては、転居を伴う配置の変更が見込まれることを理由として、通常の労働者であるXに対し、住宅手当を支給しており、当該変更が見込まれないことを理由として、有期雇用労働者であるYには住宅手当を支給していないが、A社では実態として通常の労働者に対 しても、転居を伴う配置の変更を命じていない。
③ 問題とならない例
A社においては、転居を伴う配置の変更が見込まれる通常の労働者であるXには住宅手当を支給しているが、一方で、有期雇用労働者であるYには転居を伴う配置の変更が見込まれないため、住宅手当を支給していない。
④ 住宅手当の注意点として
転居を伴う配置の変更の有無にかかわらず支給されるものについても、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならないことに留意すべきである。
そのほかの手当等については、12月11時点の改正案が厚生労働省のホームページで確認できます。改正後ガイドラインが公表されると、非正規労働者の処遇見直しが必要になる場合がありますので、今後の動きにご注意ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/001608985.pdf
【コンサルタントプロフィール】
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大関ひろ美 (株式会社ブレインパートナー 顧問) 三重県四日市市出身。 ワンズライフコンパス(株)代表取締役、ワンズ・オフィス社労士事務所 代表。1981年~ 三菱油化(現、三菱ケミカル)株式会社の人事部門に約9年間勤務。1992年社会保険労務士資格を取得(その後特定社会保険労務士を付記)。 1996年~ 外資系生命保険会社ほか勤務、北九州市嘱託職員として介護保険導入に携わる。2001年~ 社会保険労務士事務所を開所独立。 |
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DATE : 2025/12/22


























