コンサルタントコラム

【人事管理】退職代行会社から退職連絡が入ったら

退職の意思表示を退職代行会社に依頼するケースが報じられるようになりました。利用割合は離職者全体の約5%前後(パーソル総合研究所2025年8月_9月調査より)とされており、決して多数派ではありません。しかし、一定数が継続的に存在していることを踏まえると、企業側も対応の整理をしておく必要があります。

 

まず根本的な法的な観点ですが、労働契約は会社と社員の間で成立しているものであって、退職代行会社との間に労働契約があるわけではありません。
つまり、退職の申出をすることと、それを受ける主体は、会社と社員であると再認識しましょう。

 

そのため、退職代行会社がメールや電話で退職の旨を伝えてきただけでは、状況の把握が不完全です。
まず確認したいのは、その退職の意思が社員本人によるものかどうかです。退職代行会社からの連絡に加えて、本人から「退職の意思がある」ことが確認できる書面、あるいは本人の署名・押印がある退職届の提出を求めるのが実務上の基本対応になります。
こうした書面確認は、後日のトラブルを防ぐうえでとても大切です。

 

また、退職代行会社は本人の意思を伝える“使者”として機能しているに過ぎず、退職意思の真偽や内容について判断できるわけではありません。なかには「本人は会社からの連絡を一切受け付けないと言っています。」と伝えられるケースもありますが、会社としては本人にも書面などで直接連絡を取り、退職の意思を受理したことを本人に明確に伝えることが望ましいです。
これは形式的な作業ではなく、雇用関係の整理や社会保険手続きなどを漏れなく進めるための重要な一歩です。

 

では、社員が退職の意志を変える余地があるかどうか。これはケースバイケースですが、本人の意思が固いのであれば、基本的には引き留めても状況が変わらないことが多いという実務感覚があります。
感情的に説得するよりも、本人の意図を尊重しつつ、業務や引き継ぎの整理に協力してもらう体制を探るほうが、双方にとってスムーズです。

 

ただし、退職代行の利用が発生する背景には、労働環境やコミュニケーションの断絶が影響していることがあります。
退職理由が「上司との関係」「職場環境」などに起因しているケースも多く、代行を使わなくても話し合いで退職できるような職場文化や風土づくりができていれば、こうした連絡が来る前に多くの問題が表面化して改善されていたとも考えられます。
組織の健全性を高める観点からも、この事例を単なる個別事案として片づけず、組織運営を見直す契機にすることも一案です。

 

退職代行からの連絡があった場合の対応としては、

1. 社員との労働契約が成立しているのは会社と社員であるという前提を確認する

2. 本人の退職意思が確実にあることを、書面などを入手して確認する

3. 本人に直接連絡し、退職の受理を丁寧に伝える

4. 引き留めよりも、事務整理と今後の改善点の検討に力を入れる

 

このようなことで、法的・実務的なリスクを抑えながら、労働環境の維持につなげていけると考えます。

 

 

【コンサルタントプロフィール】


大関ひろ美
株式会社ブレインパートナー 顧問
三重県四日市市出身。

ワンズライフコンパス(株)代表取締役、ワンズ・オフィス社労士事務所 代表。1981年~ 三菱油化(現、三菱ケミカル)株式会社の人事部門に約9年間勤務。1992年社会保険労務士資格を取得(その後特定社会保険労務士を付記)。 1996年~ 外資系生命保険会社ほか勤務、北九州市嘱託職員として介護保険導入に携わる。2001年~ 社会保険労務士事務所を開所独立。
現在は、ワンズライフコンパス株式会社と併設するワンズ・オフィス社労士事務所の代表に就任。2006年パートアルバイト派遣の使い方ここが間違いです(かんき出版) 2013年~雇用形態別人事労務の手続と書式・文例、雇用形態別人事管理アドバイス(共著、新日本法規出版)

 

DATE : 2026/02/20

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